読書感想文: 『たのしいクリエイティブコーディング Processingで学ぶコード×アート入門』

2023-07-04T14:26:10.948Z

「たのしいクリエイティブコーディング」という本を読んだ.
題名にある通りクリエイティブコーディングに関する本で,Processingを題材にクリエイティブコーディングの方法や,アイデアをコードで表現するためのプロセスなどについて解説している.

Processingを使った作法についての説明は,他の書籍と大きく変わらないと感じたが,「MOUNTROTHKO」という実際の作品を題材とし,プロジェクトをどう進めたかを解説していた点が興味深かった.制作プロセスをコードを交えるなどしてここまで細かく解説してくれる書籍は他にないのではないだろうか.特に,自分の考えたコンセプトをどう作品に落とし込んでいくか,どうコードで表現するか,といったところが書かれていたのは,自分が悩んでいる部分だったのでありがたかった.
また,作品を公開する際にどのような問題が起こりうるか (ネットがない,解像度・アス比が本番環境では違う,プロジェクタの赤色だけ使えない等) などにも触れており,実践的な面でも学ぶところがあった.

この本の原題は「Coding Art」らしいが,序盤で触れられている「アイデア (アート) のコード化」というフレーズが印象に残った.研究でもアートでもシステム開発でも,自分の思いついたアイデアをコード化するのは非常に難しいと感じるし,それは他の人も結構そうなんじゃないかと思う.特に,プログラミングの授業課題や競プロといった,閉じた文脈でのコーディングではなく,例えばカメラやセンサ,マイコンなどを扱った構成が複雑なシステムの開発ではそれが顕著なのではないかと思う.
ここら辺についてどのような支援がなされている/いないのか,何か自分ができることがないか,と考えたりしている.